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辻 洋一郎(つじ よういちろう)
世の中には二種類の人間がいる。
世の中の人々に価値あるものを創り出し提供出来る人間と、他人が創り出した価値あるものを享受するだけの人間である。
私は前者でありたいと常々考えている。
では、価値とは何なのか?
私はこう思う。
価値とは人が世代を越えて生きて行く上で人がなし得てきた進歩それ自体なのではないかと。
つまり、人が進歩するにあたりそこには価値ある品物があったと思う。
道具を使うようになった人類が狩猟の為の道具を創り出したり、それまで火の灯りで過ごしていたのが電灯を創り出したり、移動範囲を広げる為に馬で移動していたのを自動車を創り出したり…。
これら全てが人類の歩んできた進歩それ自体であると言えるだろう。
翻ってジュエリーに於いてはどうだっただろうか?馬から自動車の様な新しい価値の進歩はあったのだろうか?
まず私はそれが知りたい。
そして、現在のジュエリーを購入或いは使用しようとしている顧客が求めるジュエリーの価値とは一体何なのか?
それは例えば100年前から変わらないのか、変わっているのか、変わりつつあるのか?
私はその声なき声を聞き取り、進歩という名の新しい価値を提供できているのか?
また、そうするにはどうしたら良いのか?
その疑問を払拭したいと考えている。
そして何より、その疑問を払拭するのに日本には良い言葉がある。
「温故知新」言わずと知れた古きを温ね新しきを知るという意味の四字熟語であるが、宝飾装身具文化というこれまでのジュエリーが歩んで来た歴史を学ぶ事によって、ジュエリーの新たなる価値や道理、知識を見出したいと考えている。
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