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竹森 貴美子(たけもり きみこ)

何歳の頃でしょうか?
蔵の急な階段を上って宝探しをするのが何よりも心踊る冒険でした。

埃っぽい蔵の中には、何棹もの箪笥や柳行李、茶箪笥などが雑然と置かれ、中には古い着物や帯、和綴じの本、壊れた腕時計や彫りが施された象牙の持ち手の繊細な日傘、使い道の分からない道具類などがぎっしりと詰まっていました。

ある日、薄暗くひんやりとした蔵の小さな明り取りの窓から光が差し込む中で、古い姫鏡台を見つけました。
引き出しをそっと開けると、中には、虹色に光る螺鈿や金色の蒔絵が施された飴色の鼈甲や黒い漆塗りの櫛や笄、銀の簪などがきれいに納められていました。
そして、更に引き出しの奥を探ると、色鮮やかな花簪が…。
あまりの美しさに手に取ると、その鮮やかなものは、はらはらと宙に舞い消えて無くなってしまいました。

その時の記憶と感動は、蔵の中のひんやりとした空気、窓から差し込む日差しの暖かさ、かび臭い匂いとともに、今でも鮮明なものとして残っています。

そのような原体験から、中でも装身具や着物、道具や家具などに興味を持ち続け、洋の東西、時代を問わず、古の美しく心惹かれるものを求め、実際に身に付け、纏い、日常的に使いながら、意匠の持つ意味を考え、誰がどのような思いでどのように身につけたのかを想像し、歴史書や宝飾の本などを参考に勉強して参りました。

「ジュエリー文化史研究会」という貴重な学びの機会に、日本と世界の宝飾装身具について深く研究したいと思います。

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