世界の装身具-指輪・耳飾り-ハンドリングゼミ 第3回ここでは、会員のゼミでの感想や気づいた点、意見、お寄せいただいた図書資料情報などを掲載します(順不同)。 角元 弥子 さん 今回ハンドリングさせて頂いたジュエリーの多くは全面に何かしら装飾が入っており、デザインに魔除けの意志を感じます。 また、リングのつくりの面で共通なのは、どんなにボリュームのある指輪でも、腕のベース部分はかなり薄い板で出来ており、 それにヨリ線や、ヨリ線をつぶして面を出したもの、粒金などをどんどんマウントして、ボリュームを出していることです。 先日、第一回目の中国南部のものを拝見したときも、ヨリ線をつぶして大きな面を作っているものが多く見られました。 仮に、職人が拠点をもたずに移動しながら仕事をする場合、持ち歩く工具や半製品は少ないほうが良いです。 個別に気になったものは下記のとおりです。 No.3 指輪 トルクメニスタン No.32 指輪 コーカサス地方 (ゼミ後、測っていただいた重量は4.9gほどでした) 以前、あるトルクメンのジュエリーの刻印については話を聞いたことがあります。
沢村 つか沙 さん トルクメニスタンでは、赤いカーネリアンとシルバーの装身具がほとんどという点が面白く、リングもありましたが、大ぶりなヘッドジュエリーやバングルがとても印象的でした。そういったアジアの民族装身具は、ほとんどの地域がヨーロッパの占領地であったため、ヨーロッパ人は現地のジュエリーを自国に持ち帰る事も多かったようで、トルクメニスタンのジュエリーは特に人気で、ほとんどがもう現地には残っていないとのことで、そういったヨーロッパとの関わりも興味深いです。 そういう歴史の積み重ねがヨーロッパにはあり、異国情緒あふれる物、エキゾチックさを感じるものに魅了され持ち帰ることで、人々が本国にいながらにして、様々な文化の魅力を取り入れることに慣れてきているといえ、それが、今の現代においても現代的なジュエリーやファッションが、自己の価値観で選び購入するという土壌を育ててきたのだと、今回思いました。 私がイギリスから日本に帰ってくるとき、アーティストとして生きるならば、ヨーロッパで活動したほうが生きていけると言われたことがあります。 だから日本が、とはちっとも思いませんが、日本は島国であり、異国の憧れを常にもっているとはいえ、やはりのほほんと幸せに過ごしてきたのだな、と感じました。 日本の業界では、ヨーロッパのジュエリーが最先端で一番かっこいいという風潮がありますが、世界の装身具のバラエティでいうと、そんなのほんの一部であることを、また強く感じさせられました。 山岸 昇司 さん 私の装身具の既成認識を超えた実物を手に取らせて頂けるので毎回楽しみに致しております。 今回のビックリはイエメンの番号26から30の引っかかりをものともしない高さのあるノッポ指輪、「引っかからない邪魔にならない」の考え方の対局にあるものでした。 番号10のカザフスタンのリングはあまりの大きさという点で同様に目を引きます。 番号9のウズベキスタンのリングは意匠もメンズ的な角形、私好みで指にぴったりでした。 作りがいささか雑なのは普通の人の普通のリングで“味“というところでしょうか。 その点では露木先生がテキスト外で見せて下さったトルクメン(現トルクメニスタン)の花嫁用髪飾りや腕輪の細やかさには注目です。 ポーラ文化研究所発行「シルクロードの赤い宝石・トルクメンの装身具」の「はじめに」は「トルクメンは中央アジアのカスピ海の南東に位置する国で、絨毯と装身具の分野においては他の民族をしのぐ優れた技術を持っています。」とあります。 それにしても美しい装身具でした。 さて、ゼミ中話題になりました、乾隆帝の帽子に使われている天然淡水真珠についてVTRを再視してみました。(NHK番組 中国王朝 よみがえる伝説 「乾隆帝と謎の美女、香妃」) 「直径3センチを超える真珠 満州族の出身地東北部の川だけで産出するもので正しい真珠「正珠」と呼ばれている」と説明していました。写真1 写真2 写真3 写真4 TV番組ついでにもう一つご紹介いたします。 フジテレビのバラエティー番組「アンビリバボー」でオマーンの前国王が日本女性と結婚するためにすでにいた3人のお妃に別れを告げるシーンがありましてお妃役の女優さんが指に着けていた指輪に着目しました。(日本のタレント事務所が集めた俳優さんたちだと思います) 当ゼミで以前、手にした教科書P77の015ミラーリングと同じ枠意匠ではありませんか。 女優さんの私物なのか、タレント事務所で用意したものか、「アッ、イスラム系の指輪だ!」とうれしくなった次第です。 吉田 明泰 さん 今回は、中央アジア・西アジアの装身具。これまでの東南アジアと違い、私にとっては縁遠い国々で、露木先生の「トルクメニスタンのジュエリーの特徴は・・・」「ウズベキスタンは・・・」という講義のメモを取るのが精一杯の2時間でした。 今回の作品からは、イエメンのリングなど数点を除くと、極端に大きかったり、高さ高いリングがすくなく、おでかけ用ではない様子から、各国の文化慣習には不案内なものの、リングが各地の暮らしに溶け込んでいるように感じました。 拝見したジュエリーのなかに、日本のモモイロサンゴ様の珊瑚が使われているジュエリー(No.24)があります。チベットのジュエリーの中にも同様のものがあり、真珠同様、日本産珊瑚もかなり世界に広くもたらされているのではないかと、改めて思いました。 今回のゼミとは関係ありませんが、「会員の方へのお知らせNO.197」で「池田重子のおしゃれ」展のご案内をいただきありがとうございました。帯留が、和装のキーアイテムとして活躍している多くのコーディネートが提案されていました。 これまで、根付愛好家が根付を愛玩するように帯留を単体として眺めていて、どのように使われていたのかについてほとんど考えてきませんでした。どちらかというと、今の女性がしているピンキーリングのように、ちいさな、自分の楽しみのために使う装身具だと思っていたので、今回、帯留が、和装のコーディネートの主役として、大きなインパクトを与えている様子に、すっかり驚きました。 奥田 文子 様 今回は、これまで2回と比べて落ち着いて見ることができました。 トルクメニスタンは、カーネリアンへの思い入れの強さが伝わってきました。 ウズベキスタンは、シャラシャラとした飾りや色使い、凝った装飾がかわいらしく、日本でも受け入れらやすいデザインだと思いました。 イエメンは、凝った装飾の指輪をたくさん見せていただきました。 コーカサス地方の指輪はとても異色でした。 今回もいろいろな発見のある勉強会でした。 さいとう まちこ さん 指輪耳飾りゼミと日本の装身具ゼミに並行して参加しておりますが、同じ装身具といっても、その意味合いの違いを毎回感じております。 指輪耳飾りゼミで扱われる装身具が持つ、民族固有のデザインへのこだわりや、魔除けなどの願い、装身具をつけるときのルールの厳格さや、そこから垣間見られる社会における女性の立場など。 この例のように、指輪耳飾りゼミでは、ハンドリングの最中に、「この装身具をつけていた女性はどのような社会的な立場・状況で、何を思っていたのだろう」などと考えないわけにはいきません。 いずれにしても、装身具という小さな物が、ほぼ無限の考察の対象を与えてくれるものだと、その奥深さ、魅力を再認識しています。 戸倉 博之 さん 以下の2作品が気になりました。 17 指輪オマーン(テキストP118) 26-30 指輪イエメン(テキストP127)
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