日本の装身具ハンドリングゼミ 第17回ここでは、会員のゼミでの感想や気づいた点、意見、お寄せいただいた図書資料情報などを掲載します(順不同)。 渡辺 郁子 さん 3回目の参加です。
青木 千里 さん 実際に存在するモノを模った造形物が好きなので両天笄(9、10、11)のような作品に一番惹かれました。 話題になりましたが、ハート形は日本古来の模様で「猪の目(いのめ)というのは初耳でとても新鮮な驚きでした。ところで、一体猪の何に形が似ているのでしょう?単純に目ではなさそうです。足跡?蹄? 神社仏閣など建造物の装飾(主に魔除け)や窓、刀の鍔に用いられている例が多く、それらは透かし或いは穴となっていて正に「目」。 図案家の伊藤櫟堂の図案集はハンドリング作品以上の資料ですね!!よくぞ集めてくださいました、拝見でき感動!! 今回も眼福でした。先生の収集に費やされた熱意、ご努力に感謝。 小宮 幸子 さん 毎回、露木先生のコレクションの豊富さに圧倒されるのですが、今回も日本の装身具の奥深さを知る大変貴重な機会でした。 両天笄だけでも様々な種類が存在していて、伊藤櫟堂の記した資料によると、四つ足両天は京都のみで見られ、錺両天は名古屋を中心に流行したことなど、地域性があることに興味を感じました。意匠としては両天笄(1), (3)は無駄のない洗練された作品で惹かれました。 また根掛という装身具を初めて知りました。現在でいうと髪を結んだゴムを隠すシュシュやバレッタのようなものに相当するのでしょうか。実物は画像から想像していたよりかなり小さいものでした。それでも真珠が留められていたり、べっ甲、螺鈿と高価な素材も使い、細部まで作りこまれていて、特に根掛(6)は「さりげなくお洒落」の代表例だと思います。 西洋の装身具にはない、日本独自の装身具の世界の豊かさと、作る側と使う側、両者の装いにかける熱意のようなものを今回も感じました。 最後に、追加(1)のべっ甲の簪は手に取る前から端正なオーラがでていて、手に取って、さらにルーペで見ても美しく圧倒されました。ケースを見ると丸嘉の名前があり納得。ゼミで拝見する中で素晴らしい作品には丸嘉が多く、ブランドとしてとても気になっています。 沢村 つか沙 さん 大正、昭和初期というのは、祖母の生きた時代と考えるととてもイメージしやすい時代であり、着物と洋装の転換期でもあるので、女性達にとっては、とても心が忙しい華やかな時代であったのではないかと感じる。 現代において、着物は普段着ではもはやなくなっており、和装をすることによって、私自身は、装う、という意味合いの違いを考えさせられました。和装は装って会う人や場所、また季節感を考えコーディネートを考えます。それは装いによって相手に気持ちよく感じてもらおうとする準備であり、その準備こそが日本人が大切にしてきた「装う」という意味なのだと、改めて思いました。 和装の準備には、5分で着てしまえる洋装にはない、心使いが感じられる、それこそが装うということなのではないかと思いました。 そう考えると、この時代の女性は、装うという心をもちながら、初めて洋装をする、その装いには洋装であっても今とは少し違う、品があるようにも思われます。初めて洋装を着て出かける時の気持ちは、高揚するものでしょう。その女性の気持ちを想像しただけでも、どきどきします。 今回のハンドリングでは、追加の蒔絵簪や、べっこう簪が特に印象的で、今着けても素敵につけられるほど、今の時代に近しい感覚になってきたと感じました。 角元 弥子 さん 大正から昭和初期の日本髪用装身具を拝見しました。 何点かの植物モチーフについて、次のように考えました。 (2)平打簪 菊と牡丹を組み合わせたデザイン 今回は拝見した資料も大変興味深かったです。 三越のカタログには、商品ごとの対象年齢がかなり細かく分かれていて、今の感覚とかなり異なります。 貴重なデザイン帖からは、見たことのないものや奇抜なものを求める風潮がうかがえました。 渕上 清志 さん 今まで、沢山の品物を見せていただいたことで、
明治と、大正&昭和初期のデザインの違いが感覚的にわかるようになってきたような気がします。
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