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日本の装身具ハンドリングゼミ 第13回

ここでは、会員のゼミでの感想や気づいた点、意見、お寄せいただいた図書資料情報などを掲載します(順不同)。


中村 園子さん

今回も興味深いものを沢山見ることができて、とても楽しかったです。

打ち出しの帯留めの『虎(猫?)とタコ』の解明は、小岩さんお見事でした!
吸盤が見えたとか、、注意深く見つつ、閃きが大切なのですね。

今回は職人さん達が水晶などの新しい素材を、どうしたら上手く、効果的に仕立てられるか果敢に挑戦している姿が思い浮かびました。

気に入ったものとしては、
18-1-1 金棟べっ甲櫛 / 櫛にきっちり合わせた金が薄く、細かい見事な彫りで、下地の黒を効果的に使って金の模様を引き立てていて、とても綺麗だと思いました。
18-3-3 べっ甲束髪簪 / この立体感!南天のモチーフの葉や実のバランスも安定感があって心地良く、ずっと見ていたいと思いました。どのような人たちの手に渡って、このように綺麗に残っていたのでしょう。
18-1-8 銀の平打簪 / 三本の銀の簪。丸の中にそれぞれのモチーフがバランス良く配置されていて、表の柄と裏は同じかと思いきや、表の柄と連続性のある柄になっていて、ちょっとした物にも昔の職人さんのセンスを感じる、心意気が気持ちいい作品だと思いました。
18-5-2 彫りの帯留/ 舌切雀の図柄も、象嵌の色地金もきれいで、日本の宝飾装身具の良いところが見られる作品だと思いました。どんな季節(場面)に着けていたのでしょう。

露木先生が「連載の最後に」でお書きになっているように、日本の女性たちはお金のあるなしにかかわらず、宝飾装身具を昔から楽しんできたのだなと思うと、タイムスリップして江戸や明治の時代にいったとしても、何の違和感もなくその時代の女子と飾りについて楽しくお喋りできそうな気がして親近感が湧きました。
最初はプロとして、素材や作り、図柄などに注目していましたが、知らない間にその当時の女子になった気分で、これイケてる?イケてない?、私だったらこれよりこれ着けたい、、、なんて思っている事に気がつき、勉強会が終わると同時に現代に戻ってきていました。
装身具の歴史の勉強会以外にも、自分自身のルーツを毎回感じています。


山崎 真紀子さん

先日のハンドリングゼミでもまた素晴らしい作品を手に取って拝見させていただきまして、どうもありがとうございました。

ヒスイについてはお話を伺ったり写真を見ても琅かんとの違いがよくわからずにいましたが、実際に拝見して5-4のヒョウタンのあたりが近いと伺って他と比べたことで理解することができました。
帯留の留め方の違いやバネで動く簪なども、実際に裏を拝見したことでわかりました。

3−4は片輪車文様(御所車の車輪を水につけたもの)の変形ではないかと思います。中心の虫のようなものが分からないのですが。

またこれからも楽しみにしております。


青木 千里 さん

髪飾りがこの時代になると束髪用も増えてきて、ハンドリング作品で大振りで歯が長く湾曲の強い櫛を確かめることができました。
特に二枚櫛のセットが揃って箱入りで残っているのは珍しいと思いました。
幅広横長で歯の短いもの、縦長の歯の長いものの組み合わせであった事がよくわかります。

今回一番印象に残ったのは、小岩さんのお手柄で大爆笑、大納得となった「蛸と虎」の帯留め。判じ絵だったのですね〜!
元絵か何かないかと探してみましたが、よくわかりませんでした。
歌川国芳の東海道宿場町を猫で描いた浮世絵に大きな蛸を引きずる猫があります。これは「大磯(重いぞ)」ということのようで、寝た子云々ではありませんでした。引き続きの課題とします。

こういった言葉遊びとしてのシャレと装身具としての粋で成り立つお洒落。
それを作り手も使い手も周りの人々も楽しめた時代があったことに感動し、 羨ましくも思います。
現代では他人にわかってもらう為の装身具はブランド物かセレブの模倣モノくらいですから・・・。


奥田 文子 さん

今回もシンプルなものから凝った細工のものまで、とても楽しく拝見しました。

金棟べっ甲櫛(図18-1-1)や、真鍮帯留(図18-5-5)の真珠の使い方、銀帯留(図18-5-6)の色違いのサンゴの組み合わせなど、素材の活かし方がお洒落で素敵でした。
水晶にカットを施した簪(図18-6-2)や 笄(図18-6-4-A、B)は新鮮に感じられました。
水晶櫛(図18-6-6)は、これを作ってしまうことに驚きました。壊しそうで怖いのですが、使ってみたい気もします。

一番印象に残ったのは、べっ甲束髪簪(図18-3-3)でした。
南天の実がサンゴだけでなく、べっ甲でも作られていることに感動しました。
手元に置いて飾っておきたいと思いました。

ヒスイの色の話は非常に興味深かったです。
価値が高いのは透明感のある濃い緑色と思っていたので、まさに目から鱗でした。
サンゴの色もそうですが、時代や地域によって好まれる色が変わるのは不思議ではないと、あらためて気づきました。


田中 有加 さん

歴史、時代背景と、その装身具の位置づけなどを説明後実物を手に取り、観察できるという機会をいただいた。
全てのアイテムで素材を無垢にふんだんに使用し細工の美しさ、モチーフの多様さを感じた。
中でも、櫛の美しさに圧倒された。
鼈甲や水晶で作られ、全体的にボリュームのある物が多く彫り、他金属と組み合わせ、繊細な細工などか現代と、髪に対する意識や見せ方の重みが全く違うような印象を受けた。
簪や帯留め等も、細工や素材の見せ方の美しさ、ヒンジの部分や使用する際の機能に至るまで配慮されており、文化の厚みを感じた。
物との距離感、楽しみ方がとても粋だと感じた。


山岸 昇司 さん

今回拝見した中でもっとも感動したのは図18−1−1 金棟べっ甲櫛です。

k22金?薄板を棟の両面にかぶせ、精緻な彫が施されています。
菊の花でしょうか、そのみずみずしさと言ったらほれぼれ致しました。
しかも随所に透かしが施され下の黒べっ甲とのコントラストが絶妙に彫に生命感を与えています。
さらに花の中央に小さな真珠が配され品格を醸し出していました。
どこの名工の手になるものか、はたまた名も無き市井の職人さんか。
実に見事な作品であります。

露木先生の講義で、ヒスイに関連して「宝石も歴史で見方が変わる」とのご指摘は我々ジュエラーにとって極めて重要で忘れてはならない視点だと肝に銘じました。

図18−5−1、5−2、5−3、参考(1)帯留ーAなどの手技のこんだ作りものは現代の装身具に生かせないものかといつも感じます。
刀装具の目貫にしても「技」が継承されず、装われず、先細ってしまうのは残念なことです。

図18−6−6 水晶櫛にも引き付けられました。
その他の素材から比べると加工しずらい水晶材、しかも良質材を使って出来ている櫛。
石に興味が在る者にとっては見逃せない逸品です。
ただ、黒髪に透明な櫛を載せても見えにくく、分からないのでよほど粋なお内儀あたりの抑えたお洒落アイテムだったのでしょうか。

それにしてもこれだけの良い物があるのはさすが露木先生のコレクションはすごいとおもいました。


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