日本の装身具ハンドリングゼミ 第12回ここでは、会員のゼミでの感想や気づいた点、意見、お寄せいただいた図書資料情報などを掲載します(順不同)。 藤井 正男 さん 本日のセミナ−も大変有意義でした。 戸倉 博之 さん 進行係で、参加者の皆さんのように議論も観察も出来ていませんが、 図17−5−1の首掛式懐中時計鎖が気になりました。 時計は、スイス製時計メーカーのCYMA(シーマ)です。 図17−7−1
山崎 真紀子 さん 今回も素晴らしいものを間近で拝見させていただきましてありがとうございました。 素材が何かを当てるものは特におもしろく、また勉強になりました。 ほかにも、襟止めや時計鎖(図17-5-1)のような文章で読んではいてもどのようなものか具体的にはわかっていなかったものを拝見できて、大変勉強になりました。
河野 英理さん 今回のハンドリングは主に、象牙風の櫛、大正時代の代表的な形の櫛でした。 興味深かったのは、一角(クジラの仲間)の角でできた櫛と笄のセット(素材は?(7))。このような物は今まで骨董市等で見かけたことが無かったので、骨董市へ行くことがあったら、注意してみてみたいと思います。 その他の物の中で、一番興味深かったのは、懐中時計の首掛け式チェーン(図17-5-1)でした。チェーン大好きの私としては、実物を見るのは初めてで、感激でした。 先生は、イギリス?で元になるウォッチ・チェーンがあったらしい(写真もある)とおっしゃっていたのですが、私は存在を知りませんでした。本当にそんなものがあったのだろうかと、密かに悩んでしまったのですが、アンティークのチェーンで似たようなものがある事に気づきました。 もしかして、Muff Chain(マフ・チェーン)が、首掛け式チェーンの原型ではないでしょうか? 応用が得意な日本人ですから、マフ・チェーンに懐中時計を吊るしたら素敵だなと考えたとしても不思議は無い様に思います。実は私も、所有しているマフ・チェーンに懐中時計風デザインのロケット・ペンダントを合わせて着用したりしております。
角元 弥子さん 明治期の、新しいタイプの装身具に対する人々の飢餓感と、それを煽る商魂?の、エネルギーを感じるような回でした。 <襟かけ、首掛け用懐中時計>(図17-5-1) 和装用の襟かけ式、首掛け式の懐中時計鎖に興味をもちました。 <水晶のリング>(図17-11-4) 水晶の写真入りリングはハンドリングをとても楽しみにしていました。 <櫛かんざしの素材>(素材は?(7)) イッカクの牙が、その素材感をわざと残して細工されていたのが面白かったです。 以上、次回も楽しみにしています。どうぞ宜しくお願いいたします。 青木 千里 さん 今回の素材を推察するハンドリングは今までのゼミをどれくらい理解、記憶しているか確認出来る面白い試みでした。確信の持てない物、初めて実物を見る貴重な物もあってとても勉強になりました。 また、資料「東京百事流行案内」の絵図は形状の微妙な違いがよく分かり役立ちます。実物も大切なのですが、個々の図柄や技法にとらわれて普遍的な外形を見失いがちですから。 吉田 明泰 さん 開講冒頭、露木先生の翡翠に関する考察を興味深くうかがいました。 欧米の価値観、原色を尊ぶ風潮の影響を受け、薄い緑の翡翠から、エメラルドグリーンの翡翠が好まれるようになっていったのではないかという推論(誤解していたら申し訳ありません)は、珊瑚のマーケットにもあてはまると感じました。 昭和以前の多くの宝石関係書に、ボケ珊瑚が非常に高価であったと記されています。 例1:本ボケはエンゼルスキンカラーとよばれ、淡いピンク色で全採集量の1%にも満たないため、赤、桃などの10〜20倍の高値を示している。(昭和41年『カラーコンパクト宝石』・集英社P147) 例2:殊に「ぼけ」と称せらるヽ淡赤色の軸は欧州にて「天女の膚」と称せらるヽものに相当し値はなはだ貴し」(明治37年『水産調査報告』P26) 一方、その時代には さいとう まちこ さん 今回のハンドリングでは、首掛式懐中時計鎖及び甲府の写真入水晶指輪が特に印象に残りました。 前者については、当時の人々が夢中になったのもうなずける魅力を感じました。宮崎さんに装着していただいたときの、和装がぱっと華やぐ感じが、大変素晴らしかったです。実物をハンドリングさせていただくことのできる当研究会でなくてはできない経験をさせていただきました。ブローチを和服に応用した襟留の例も含め、先生のおっしゃるとおり、日本人のコーディネート力は非常に高く、センスがあったのだと改めて実感できた瞬間でした。 後者の写真入水晶指輪については、余談ですが、数年前、仕事で甲府に住んでいたころ、地場産業センターによく足を運んでいたことを思い出しました。そこで見ることのできる、水晶の商品と言えば、数珠状のネックレス、ブレスレット、カットをほどこしたペンダントトップ、印鑑、置物などが定番でした。このような水晶指輪が、強度を増して現代風のデザインでもしも作られたら、大変素敵な甲府の特産品のひとつになるのでは・・と思った次第でした。 さとう あけみ さん このたびは鈴木春美さんの<指輪の普及とその要因の探究>の講演会から参加させていただきました。 ゼミの10日ほど前10月21日に糸魚川のフォッサマグナミュウジアムを訪れました。 ちなみに青森の三内丸山遺跡から発見されたヒスイの勾玉はその後の研究から糸魚川産であることが分かったそうです。 山岸 昇司 さん 貴重な資料を拝見させて頂きありがとうございました。 お初形櫛(1)秋草図―萩、芙蓉(ふよう)、撫子(なでしこ) 構図と仕事の繊細さに引き込まれました。櫛の歯の部分にも模様が描き込まれていているのが職人さんの気合を感じます。 政子形櫛(4)石山寺 秋の月 表面と思われる面に月を眺めるお公家さんが描かれていて風情を感じます。銀で描かれた月は年月で硫化して黒くなり、月とわからなくなってしまっているのが惜しいところです。 作られた当時は月の銀、お公家さんの金、松の青、柱の赤の対比が鮮明でさらに美しかったことでありましょう。 石山寺を名のみ知る程度なのでネットで調べてみると紫式部ゆかりの地、「四季折々の美しい風景はもちろん、近江 八景のひとつにも数えられる秋の月は格段と美しいと言われています。」とありました。 今まさに紅葉の季節、石山寺では現在の観光客も同じ風情を感じながら秋の月を愛でていることでありましょう、と思うと一層愛着を感じます。 (7)一角(いっかく) 話には聞いていた一角のツノ。さすが露木先生のコレクションに脱帽です。 当初、鹿のツノかと思いましたが櫛の組織シミがいささか気になったところです。 笄の成長方向に対してわずかに螺旋を描いている外皮が特徴と覚えました。
螺旋といえば、図17-7-2ネクタイピン(博覧会記念)です。本品の針部分がどうなっていたか見忘れましたが、私が現役だったころ(第三 初めて見るものであり、キャッチもなく用途を測りかねました。その針には螺旋に溝が切ってありねじ込んで着用するのだろう、そして溝で抜けづらくなるのだろうと推測したものです。 今回のゼミで正確な使用法を知ることができました。 奥田 文子 さん 今回は、いろいろな素材や、素材同士の組み合わせも見ることができで勉強になりました。 一番印象深かったのは、素材は?(7)一角でした。 政子形櫛(2)(つらら?藤の花?)は、何を表しているかまったくわかりませんでしたが、 地はざらざらとした革のような質感で、大人っぽく感じられ、忘れられない一点となりました。 17-5-1 首掛式懐中時計鎖は、鎖の長さに驚きましたが、着物と洋服との身に着け方の違いを感じました。 17-11-4写真入水晶指輪は、どんな人が身に着けたのか興味が湧きました。 土田 慶太 さん 今回のゼミで行われた、櫛、笄、簪の素材当ては、勉強不足の自分には全く出来ないのではと思っていましたが、思っていたよりは見分けることができました。このハンドリングゼミで学んでいて良かったです。 印象的であったものは、首掛式懐中時計鎖です。現代にこういったものを着用されている方はまずいないでしょうが、実際に和服と合わせているのを見た時に、とても魅力的な装身具だと思いました。最近は、和装で出かける方が増えてきているように感じます。このような装身具を復活させるというのも面白いかも知れませんね。 齋川 陽子 さん 前回のゼミでは、
明治に入ってからの女性装身具の流れが一気に変わり、女性の好奇心に満ちた羨望が伝わってくるような、そんな印象をもちました。 参考文献 レンズが撮らえた幕末明治の女たち 山川出版社 小宮 幸子 さん 今回拝見した中で気になったのは、素材は?(9)の簪です。玉の部分はいかにもセルロイド製と判別できたのですが、足は擬甲で、その一部がべっ甲ということに驚きました。貴重な素材を無駄にしないため、とも聞きましたが、なぜ全てを擬甲で作らなかったのか不思議に思いました。そこまで手間暇や労力をかけても、「べっ甲が使われている」ことで価値がだいぶ変わるのでしょうか。 今回のテキストを読んで、明治後半期から大正にかけての、和装から洋装への転換期の女性の装いに、独特の魅力を感じました。和装に着けても良い装身具は指輪か帯留め、という固定概念しかなかった私には、着物に襟留や首掛式懐中式時計鎖を合わせた姿は、とても新鮮で華やかに映ったのです。また当時の流行、風俗を知るには鏑木清方などの絵画が貴重であることも痛感しました。 中村 園子 さん 今回は、『素材は何か?』と始めにお題をいただいて燃えましたが、自分の見極め眼のなさにびっくりしつつ、それがかえって違いを良く見ることになり、とても勉強になりました。 明治時代後期は、洋式ジュエリーと和装の組み合わせによって、今では思いつかない使い方をしているのが興味深かったです。 岩崎 望 さん 今回も普段目にする機会がないものを数多く見せていただき、ありがとうございました。 野上 亜紀 さん ゼミの中で少し違うお話だったのですが、翡翠の話が印象的でした。真珠と同様に今の翡翠を見る見方と、戦後のアメリカ人の影響をうけた見方の違い が非常に面白く、今後もう少し注意して見てみたいと思いました。
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