日本の装身具ハンドリングゼミ 第3回ここでは、会員のゼミでの感想や気づいた点、意見などを掲載します。 青木 千里 さん 木は本当に個体差もあって難しいです。唐木が好きで、お箸を磨く事を少し楽しんでいます。何本も何本も実際に手に取って扱うと違いが見えて来ます。 工芸に使われる木材を知るのに以下のサイトを参考にしました。 「木材図鑑」・・・唐木は「輸入木材・南洋材」に入っています。 黒檀、鉄刀木(たがやさん)は画像をクリック、紫檀は左側の動く見出しから探してクリックして下さい。 「千年の杢」・・・銘木あれこれのページに唐木が紹介されています。 本黒檀や青黒檀は1,500番以上のサンドペーパーで磨き上げるとまるで金属のような質感の仕上がりになります。 少ない体験をもとに見立てた所、先日のゼミの物は 8ー3ー2・・・笄の軸はその木目の特徴から「鉄刀木」であろうと思います。 8ー5ー8・・・その木目の濃淡の特徴から「縞黒檀」とわかります。色の薄い方は経年変化で樹脂成分等が出てしまったのでしょう。 参考イラスト http://sorakara11.blogspot.jp/2011/10/blog-post_26.html http://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=11019025453&GroupCD=0&no= 角元 弥子 さん <8-5-7>象牙調の白素材に蛸唐草風の模様を消粉蒔絵 本体素材は、白い骨素材に見えます。 両面の両端(4箇所)に唐草が配されていますが、片面の片側(1箇所)のみ、金粉の剥落が顕著ではっきりと絵漆の弁柄色が見えています。 <8-6-4>銀かぶせの水晶玉かんざし 抽象化された文様について、何の文様かが会で話題になりましたが、笹とよく組み合わせられるモティーフ「ふくら雀」ではないかと思います。 <その他> 蒔絵の加飾技術としては、貝螺鈿も含めそれほど込み入った技法が使われたものは、確かにこれまでのハンドリングで多く見られませんでした。 ただ、8-5-6では、薄貝螺鈿の技法で、貝でなく漆を薄い板状にし、四角く切って貼り付けた部分があり、加工コストの問題だけとは言い切れません。 根本 充位 さん 今回は幕末〜という多くの簪を触れさせていただきました。 奥田 文子さん 第三回の研究会に参加させていただきましたが、今回もあっという間に時間が過ぎてしまいました。 櫛にしろ簪にしろ、自分にしかわからないような細かい細工に、美意識の高さ、文化の成熟を感じました。逆に、一見華やかだけれど、よく見るとよい作りではないものもあるというご意見に、利益を追求したい売り手と、流行りのものを身につけたい女性の姿も見える気がしました。 また、8−6−3 吉祥文様の簪を見たときは、いつの時代も願いは同じだと微笑ましく思っていました。しかし、露木先生から「吉祥文様は日本では縁起物だが、アジアの他の国では身につけなければ死んでしまうくらいの命懸けのもの」と教えていただき、装身具の別の一面を思い出しました。同時に、楽しむための装身具が発達した日本の平和さを、あらためて感じました。 小岩 佐千子 さん 江戸末期になると、江戸後期の巨大化した櫛、簪、笄のブームは去り手に治まるノーマルなサイズに落ち着いたように感じた。 辻 洋一郎さん 今回、際立っていたのは意匠の精密さ美しさであると思う。これまでのものと比べてみても蒔絵などで描かれている文様を見るとその細やかさが際立つ。 上條 育恵 さん 研究会も、早いもので第3回目となりました。 実家の祖父が時代劇が好きな事もあり、 まだ工具が限られていた時代に、職人が繊細な細工を創り出す制作風景を思い浮かべると、 日本の装飾技術の素晴らしさには逐一感動を覚えます。 今回の作品の中で特に印象に残ったのは、8-6-3婚礼用の簪セットと、8-6-4水晶の玉簪でした。 玉簪は、現在の和装飾品店の店頭に並んでいても、目劣りしない様なお洒落なデザインであり、自分で欲しくなってしまう程でした。 また婚礼用簪セットは、具象作品の造形の細かさもさる事ながら、縁起物のモチーフを配 したこの簪を、花嫁の女性が着用し嫁いで行く姿を想像し、時代を超えた今でも、一点一点に造る人・贈る人・贈られる人の思いが込められている事を感じました。 今後の自分の制作に向けて、改めて身が引き締まりました。 立澤 真弓 さん いつも貴重な作品を拝見出来る事を感謝申し上げます。 昨今は本をじっくり読む時間がなくなり色々な資料を読んでからセミナーに臨みたいと思いながらも、結局はJCの資料で手一杯の中、拝見させて頂いている次第です。 それでもセミナーのおかげで、江戸時代を中心にした特番や時代劇などを見る時は、以前よりも注意深く見られるようになりました。例えば、時代劇の登場人物が、拝見した装身具の中でどの作品に近いものを身につけているのか、実際にどのような生活をしてたか、など勝手に想像しながら見ています。 過日アンコール時代劇「必殺仕事人」をたまたま見ていましたが、その中で、町娘が簪職人に簪を依頼するシーンがありました。これが事実に基づいたものとしたら、私達が店でジュエリーを買うように、昔も今と変わらず町の人が職人に注文する事があったのかもしれないと思いました。
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