日本の装身具ハンドリングゼミ 第2回ここでは、会員のゼミでの感想や気づいた点、意見などを掲載します。 辻 洋一郎さん 今回、秀逸だと思われたのは松竹梅の黒と銀の簪である。 岩崎 望 さん ハンドリングゼミではお世話になり、ありがとうございました。珊瑚をあしらったものが多かったので、間近にみれてとてもうれしかったです。 ーーーー 1.ベニサンゴ Corallium rubrum 2.アカサンゴ Paracorallium japanicum 3.モモイロサンゴ Corallium elatius 4.シロサンゴ Corallium konojoi 5.深海サンゴ Corallium spp.(複数種) 青木 千里さん 今回も講師、幹事はじめご準備頂いたみなさまに感謝いたします。ありがとうございました。 第2回のハンドリングは前回に比べ素材だけでなく、デザインや技法も凝った物が増え勉強が深まりました。 1)「7-2-11」の小振りの簪はよくよく観察するうちにテーマが「松竹梅」であることがわかったり、黒っぽい地金の部分が一体何なのか皆さんの意見が色々出て、グループでのハンドリングの醍醐味を味わえました。 2)二辺にだけビラの下がった「7−3−2」の箱迫用簪ですが、その後調べておりましたら同じ形の簪が入った紙箱に「田楽形簪」という商品名がスタンプされた物に出会いました。 * 「ロシアでは何故結婚指輪を右手薬指に嵌めるか」というお尋ねがありましたが、只今鋭意調査中です。* 奥田 文子さん 第二回は、簪を中心に、精緻な細工のものをハンドリングさせていただきました。 角元 弥子さん 下記、第2回の研究会でハンドリングさせていただいたものの感想です。 No.7-2-3(平打かんざし) 鳳凰に松、源氏雲、と、吉祥の意匠の平打かんざしです。 No.その他11 水牛の蹄(ひづめ) 最近知ったのですが、インドではメジャーな宗教(ヒンズー教)上、牛は神聖な生き物とされ食用や屠殺が禁忌される一方、
水牛は別種の扱いで、日常的に食されており、食肉として輸出までしているとのこと。 以上です。 次回楽しみにいたしております。 小宮 幸子 さん 第2回ゼミの感想をお送りします。 素材も技巧も凝った、高価そうなものから、庶民が日常使っていたと思われるものまで、実に多様な簪が存在していたことを実感しました。当時の女性にとって、簪はそれほど装いに欠かせない必需品であったということでしょう。自由を獲得してきた女性たちの、もっとお洒落をしたいという情熱が、時代を超えて伝わってくるようでした。 今回ハンドリングした中で印象に残っているのは7-2-11 鉄の松葉簪です。 一見すると、小さく、細くて、黒く、地味な印象です。黒髪に挿しても目立たないので、白髪のご年配の女性のものだったかもしれません。ですがよく見ますと、何とも渋い存在感に変わっていきました。全体の形は松の葉、掻軸部は竹の節、そしてわずか幅5ミリほどの鏡部には金の布目象嵌で梅の花、と松竹梅の意匠が表されているのです。着けている女性だけが(もしかしたらその簪を贈った男性も)知る喜び、これ見よがしではない粋なお洒落を感じました。 また今回は模造サンゴ「明石玉」(その他2)を手に取り、鉛が仕込まれた内部の構造まで拝見できたことは貴重でした。擬甲と同様、模造サンゴに対しても「偽物」というネガティブな感覚は当時なかったように思います。現代の女性たちが、フェイクパールやスワロフスキーがあしらわれたアクセサリーを、ファッションに合わせて気軽に楽しむのと同じように、サンゴ=赤い玉のついた簪は、江戸後期流行のファッションアイテムの一つとして求められていたのでは、と想像されるからです。様々な模造サンゴが作られた中、明石玉は最も普及し、ある意味ブランド化されていたようです。良質で高価な明石玉は中国にまで輸出されていたそうですから、さながら江戸後期のスワロフスキーと例えては大げさでしょうか。 毎回初めて目にするもの、聞くことが多く、楽しい時間です。 沢村 つか沙 さん その他8−象牙サンゴ飾りの彫金の葉にある虫食いについて 伊藤 葉子 さん 今回のゼミの内容を簡単にまとめ、アントワープでお世話になったフランス人講師にシェアしたところ、彼女が特に関心を持った2点についての、私の感想です。 「図7-5-1 喜多川歌麿 当世女風俗通 北国の契情」(図版) なぜ当時の日本では右手の小指に指輪をはめていたのか? 「その他8 珊瑚、象牙、虫食いの葉の彫金の飾り簪」 日本の影響を受けたアールヌーボー作品の中にも、枯葉をモチーフにしたものはあっても、虫食いまではないだろう、と思って探したら、Lucien
Gaillard作、角(水牛の?)、金、真珠層、ダイヤモンドからなる櫛がオルセーにありました。
今はまず日本のジュエリー文化史についてきちんとした知識を得ることが最優先ですが、ゆくゆくは対象範囲を広げ、比較文化的な研究へと発展できたら、と強く感じた第二回ゼミでした。次回も楽しみにしております。 石井 恵理子 さん 多くの皆様が感じられたようですが、私も7-2-11(銀の松葉簪)が個人的に一番心が動きました。 渋く決して派手でないその姿は、見れば見るほど味があり、媚びない凛とした美しさを感じました。 自分がそれなりの年になってきた証拠なのか、派手に着飾ることが全てでない、内側から囁くように、でもしっかり呼び止められる、そんな作品でした。 簪各部の名称も伝統的に人体の部位で、表現されていることも面白いと思いました。
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